「自転車の歩道通行容認」の道交法改悪に反対します

自転車の車道走行「禁止」を狙っている!?

道交法改正、自転車の歩道通行容認
http://www.asahi.com/national/update/1130/TKY200611300260.html

私はこの法案に「反対」します。
自転車は現在の道交法を遵守し、「車道の左側」を通行をすべきです。
理由は以下の通りです。

すべての歩道が自転車通行可能になる

この法案では、歩道走行を認める条件が以下のようになっています。

  • 子どもや高齢者、買い物目的での利用
  • 車道通行が著しく危険な場合

もっともらしく見えますが、いくらでも拡大解釈できてしまいます。「車道通行が著しく危険な場合」といいますが、危険でない車道など日本のどこにも存在しません。(特にこれからの忘年会シーズンは、幹線道路だけでなく、家路を急ぐ飲酒運転自動車のせいで住宅地の車道すら危険になります)


この条件は、すべての車道が「著しく危険」となり、この結果日本全国すべての道路において「自転車は必ず歩道を走ることができる」と拡大解釈される危険が非常に高いものです。
自転車は必ず歩道を走ることができる、ということになれば、以下に述べる様々な危険が生じます。


自転車が加害者になる事故がますます増える

  • 歩行者をはね、自転車が「加害者」になる事故の急増を重くみた。

というのに、なぜ自転車を歩道で走らせようとするのか、理解に苦しみます。


現在の道交法を変えなくても、自転車と自動車の双方が法を遵守し、車道を正しく安全運転すればよいのです。自転車が歩道ではなく車道を走れば、歩行者と自転車が同じ領域に存在することが少なくなり、自転車が加害者になる事故は大幅に減らせると思われます。


自転車が加害者である事故の大半は、自転車が現在の道交法を守っていないことが原因です。

  • 夜間にライトをつけずに走る (第52条、第63条)
  • 携帯電話を操作しながら走る (第70条)
  • 自転車通行可の歩道における「歩行者優先」義務違反 (第63条)

これらが守られていない (そもそも知らない人が大半) である状態で、道交法のお墨付きのもとに自転車がすべての歩道を走ってよいことになったら、自転車と歩行者の事故はますます増えるものと危惧します。


自転車を歩道に上げる前に、まず自転車が歩道を走っても歩行者に迷惑をかけないよう、「現在の」道交法を自転車ライダーに徹底する必要があるのではないでしょうか。


自転車と自動車の事故も増える?

すべての歩道で自転車が通行可能になったら、その数年後には「自転車は必ず歩道を走るものであり、車道を走るものではない」という誤った全国民的コンセンサスが作られてしまうのは確実です。「子供・高齢者・買い物」「車道が危険な場合」のみ例外的に自転車は歩道を通行していたのが、いつの間にか「自転車は必ず歩道」と勘違いされてしまうわけです。
(現在でも既に、「自転車通行可の標識がある場合のみ歩道通行可」のはずなのに、自転車は必ず歩道通行と思いこんでいる人が大半です)


この結果、歩道通行の条件に当てはまらない場合でも (たとえば成人若者がサイクリング目的で、見通しがよく交通量の少ない道路で) 、自転車が車道を走っていると「自転車が車道を走るなんてとんでもない」と勘違いされてしまいます。


このように考える自動車ドライバーが、法規遵守で車道を走る自転車を追い越すとき、どのような運転をするでしょうか。安全運転義務を守り、十分な間隔をあけて安全に追い越すでしょうか。そうはならないでしょう。以下のように考えるのではないでしょうか。

  • 自転車は歩道を走るものだ。車道を走ってはいけない。
  • いま追い越そうとしている自転車は、本来走ってはいけない車道を走っている。
  • もし追い越し中に私と自転車が接触事故を起こしても、悪いことをしているのは自転車だ。私は悪くない。
  • だから事故を起こしてもいい。ギリギリの間隔で追い越してやろう。

これは明らかに、自動車ドライバーが勘違いしています。が、実際に起こりそうなことではありませんか?


現在、すでに「自転車は車道を走るな!」と勘違いしている自動車ドライバーも多数おられるようですので…その勘違いを助長して、自動車加害・自転車被害の事故が増えるのではないでしょうか。


まとめ

自転車が「現在の」道交法を守らない現状で、自転車の歩道通行を認めたら、ますます自転車が「加害者」となる事故が増えます。よってこの法案に反対します。