モー娘吉澤の弟が事故死:「かわいそう」では済まない

モー娘。吉澤の弟が交通事故死
http://www.sanspo.com/geino/top/gt200701/gt2007011400.html
モーニング娘。吉澤ひとみの弟が、東京都新宿区の神楽坂下交差点を自転車で走行中、普通乗用車にはねられ死亡。


このニュース、多くの人は「かわいそう・悲しい・泣いた」「それでもステージに立つのは素晴らしい美談」といったことを書いている。
ここで私は、この事故は、日本の交通事情の問題点を浮き彫りにするものであると指摘する。

弘太さんが自転車に乗って神楽坂から外堀通りを渡る際、右方向から直進してきた専門学校生の男(20)の運転する乗用車にはねられた。


この太字の部分をよく読むと、何かがおかしいことに気づく。交差点で右から直進してきた…ということは右左折時に巻き込まれたわけではない。これは、自転車・乗用車のいずれかまたは両方が信号無視しないかぎり起こりえない状況だ。


信憑性は高くないソースだが、事故の目撃者のブログなどでは、

  • 乗用車は、青から黄色の信号を見て、加速して交差点を通過しようとした
  • 自転車は下り坂でかなりのスピードが出ていた

などの情報が得られた。ということは、

  • 自転車が交差点に進入した時点で、乗用車側の信号は青または黄色だった。つまり被害者は赤信号を無視して交差点に進入し、撥ねられた。


乗用車が黄色信号で加速したという違反や、そのとき制限速度内であったかどうかも気になるところではあるが、この事故の主たる原因は「被害者自転車の信号無視」であるといえるのではないか。


これが日本の交通事情の問題点である。
街で見る印象では、自動車や自動二輪の信号無視はあまり見かけないが、自転車の信号無視 (その他いろいろな道路交通法違反) は非常に多い。むしろ道路交通法に違反していない自転車を探す方が難しいくらいだ。
日本の自転車利用者は、自転車が「車両」であり道路交通法を守らなければならない、ということを忘れている/知らないのではないか?


自転車は車両であり、道路交通法に従い、「車道を」通行しなければならない。
しかし1978年、あくまで一時的な措置として例外的に、一部の歩道が自転車通行可となった。そして現在では、まるで「自転車は歩道を走るのが当然」であるかのような誤解が広まっている。被害者は16歳だったということなので、生まれたときにはすでに自転車が歩道通行するのが当然となっている世代だ。


私は、この事故の根本的な原因は、自転車の歩道通行 (道路交通法第六十三条の四) にあると考える。
自転車が歩道を通行することで、自転車利用者は「自転車は歩行者と同じだから道路交通法なんて無視してもかまわない」と誤解するようになったのではないか。歩道を通行するかぎり、道路交通法に違反しても (まわりには自転車より弱い歩行者しかいないため) 自転車自身が危険になることはないからだ。
その結果、街で見かける大半の自転車では…歩道でベルを鳴らして歩行者を追い散らし (第六十三条の四の2違反)、夜なのにライトをつけず暗がりから飛び出してくる (第五十二条違反)、携帯電話を操作しながら走っている (第七十条違反) 、そして信号無視 (第七条違反)…といった違反が放置されている。しかもそのような自転車を警察がまともに取り締まっていない (取り締まりを強化したこともあったが、「強化月間」といった一時的なものに過ぎなかった)。


自転車が、歩行者のように歩道を通行するのではなく、車両として「車道」を走っていれば、自転車の違反は直ちに違反者自身への危険として跳ね返ってくるため、自転車利用者が道路交通法を守るようになるのではないか。
また自転車が車道通行することは、自動車ドライバーから自転車が視認しやすくなるため、安全につながることが報告されている (http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku71/20061130-2.pdf 資料8)


この事故の遠因となったのは、自転車の歩道通行である。さらに追加すると、自転車の違反をまともに取り締まらなかった警察にも責任の一端がある。
自転車は、道路交通法を守り、「車道を」通行すること。これを守れば今回のような痛ましい事故は起こらなかったはずなのだ。


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ところで モーニング娘。 って誰?